今年の春のお彼岸、いつもと違う?注目すべき理由とは
春の訪れとともに、日本では大切にされている「お彼岸」の時期がやってきます。お彼岸は、ご先祖様を偲び、感謝の気持ちを伝えるための特別な期間です。しかし、今年の春のお彼岸は、例年とは少し異なる点に注意が必要かもしれません。
まず、お彼岸とは具体的にいつなのか、そしてなぜ「彼岸」と呼ばれるのか、その由来や意味について改めて確認しておきましょう。
お彼岸とは?その起源と意味を紐解く
お彼岸は、一般的に「春分の日」と「秋分の日」を中日(ちゅうじつ)として、その前後3日間を合わせた7日間を指します。つまり、春のお彼岸は春分の日を挟んだ7日間、秋のお彼岸は秋分の日を挟んだ7日間ということになります。
「彼岸」という言葉は、仏教用語の「波羅蜜多(はらみった)」に由来し、「向こう岸」という意味を持っています。この世(此岸:しがん)から、悟りの境地(向こう岸:彼岸)へと渡るための修行期間というのが、その本来の意味です。しかし、日本では古来より、ご先祖様が極楽浄土からこの世へ戻ってくる時期と考えられており、お墓参りをしてご先祖様を供養する習慣が根付いています。
今年の春のお彼岸は、具体的に3月17日(日)から3月23日(土)までです。そして、3月20日(水・祝)が春分の日で、お彼岸の中日となります。
なぜ今年の春のお彼岸は「注意が必要」なのか?
では、なぜ今年の春のお彼岸は「注意が必要」と言えるのでしょうか。いくつかの理由が考えられます。
1. 感染症対策の継続と配慮
新型コロナウイルスの流行は落ち着きを見せていますが、インフルエンザなどの感染症は依然として注意が必要です。特に、ご高齢のご親族や小さなお子様と一緒にお墓参りをする場合、感染リスクへの配慮は欠かせません。人混みを避ける、マスクの着用を検討するなど、周囲への配慮を忘れずに行動することが大切です。
2. 交通事情や混雑の可能性
春分の日を含むお彼岸期間は、お墓参りに出かける方が増えるため、交通機関の遅延や道路の混雑が予想されます。特に、公共交通機関を利用する場合は、事前に時刻表を確認したり、混雑を避ける時間帯を選んだりするなどの工夫が必要です。自家用車で出かける場合も、時間に余裕を持った行動が肝心です。
3. 地域による風習の違い
お彼岸の過ごし方や、お墓参りの作法は、地域によって微妙に異なる場合があります。例えば、お供え物の種類や、お墓参りの際に唱えるお経などが異なることも。ご自身の出身地や、お墓がある地域の習慣を事前に確認しておくと、より丁寧なご供養ができるでしょう。
4. ご先祖様への感謝の気持ちを再確認する機会
「注意が必要」というのは、単に物理的な注意だけでなく、精神的な意味合いも含まれています。日々の忙しさに追われ、ついご先祖様への感謝の気持ちを忘れがちになっていませんか? この機会に、ご先祖様がいてくれたからこそ今があるということを改めて深く感じ、感謝の気持ちを心に刻むことが、何よりも大切なのです。
お墓参りの基本作法:心を込めてご先祖様をお迎えする
お墓参りは、単にお墓を掃除して手を合わせるだけでなく、ご先祖様を大切に思う心を形にする儀式です。基本的な作法を知っておくことで、より丁寧なご供養ができるでしょう。
1. お墓参りの前に準備すること
服装:基本的には、普段着で構いませんが、あまりにも派手な服装や露出の多い服装は避け、清潔感のある落ち着いた服装を心がけましょう。殺生を連想させる革製品や毛皮製品の着用も避けるのが一般的です。
持ち物:
- お供え物:後述しますが、お花、お線香、故人の好きだった食べ物や飲み物などを用意します。
- 掃除道具:雑巾、ほうき、ブラシ、バケツなど。
- 数珠:宗派によって形式が異なりますが、一つ持っていると便利です。
- ライターまたはマッチ:お線香に火をつけます。
- ゴミ袋:お墓周りをきれいに掃除した後のゴミを持ち帰るために必要です。
2. お墓に到着したら
① 手桶と柄杓(ひしゃく)を用意する:お寺の備え付けの場所に手桶と柄杓があれば借りておきましょう。お墓を掃除する際に水を汲むのに使います。
② 墓石を清める:まずは、手桶に水を汲み、柄杓で墓石に静かにかけます。石に染み込ませるように、墓石全体に水をかけ、汚れを洗い流します。水垢や苔などが気になる場合は、ブラシなどで優しくこすり洗いします。
③ 供花を供える:お墓の左右に、一対(2本)となるように花瓶に生けます。花は、一本だけ、あるいは数本を束ねて供える場合もあります。故人の好きだった花や、色鮮やかな花を選ぶと良いでしょう。ただし、トゲのある花や、香りの強すぎる花、毒のある花(彼岸花など)は避けるのが一般的です。
④ 線香に火をつける:お線香に火をつけ、煙が立ち上ったら、ろうそくに火を灯し、その火でお線香に移します。お線香は、通常1本、または3本を束ねて供えます。宗派によっては、お線香を立てずに寝かせる場合もありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
⑤ 仏前に手を合わせる:合掌し、ご先祖様への感謝の気持ちや、近況報告などを心の中で伝えます。宗派によって数珠の持ち方や数珠の繰り方作法が異なります。
⑥ お供え物を下げる:お線香の火が消えるのを見届けてから、お供え物をいただきます。お供え物は、お墓参りの後に持ち帰るのが基本です。これは、野鳥や虫がついたり、雨風にさらされたりすることを避けるため、そして、お供え物を無駄にしないためです。
⑦ 周囲を掃除して帰る:お墓の周りに落ち葉やゴミがあれば拾い、きれいに整頓して帰ります。お墓だけでなく、その周辺もきれいにすることで、ご先祖様も気持ちよく過ごせると考えられています。
お墓参りの際の注意点
- 私語は慎む:お墓は神聖な場所ですので、大声で話したり、騒いだりしないようにしましょう。
- 喫煙はしない:お墓での喫煙はマナー違反です。
- 掃除道具は持ち帰る:使用した掃除道具は、きれいに洗って持ち帰りましょう。
- ゴミは持ち帰る:お墓参りに持参したものは、すべて持ち帰るのが基本です。
お供え物の基本:ご先祖様が喜ぶものを選ぼう
お彼岸のお墓参りで欠かせないのが、お供え物です。ご先祖様が喜んでくれるような、心を込めたお供え物を選びましょう。
定番のお供え物とその意味
1. お花
お供えする花は、故人の好きだった花や、故人を偲ばせる花を選ぶのが一番ですが、一般的には以下のような花が選ばれます。
- 菊:お祝いやお悔やみなど、様々な場面で使われる花で、日持ちもするため定番です。
- カーネーション:母の日のイメージが強いですが、色によっては上品で落ち着いた雰囲気になります。
- ユリ:清らかで美しい花ですが、香りが強いため、場所によっては避けた方が良い場合もあります。
避けるべき花:
- トゲのある花(バラなど):故人を傷つけると連想されるため。
- 香りの強すぎる花(強い香りのユリなど):周囲に迷惑をかける可能性があるため。
- 毒のある花(彼岸花、スイセンなど):死を連想させるため。
- 咲き終わった花:仏様は、散りかけの花ではなく、美しく咲いた花を好むとされています。
注意点:お墓には、通常、一対(2本)のお花を供えます。棘のある花、香りの強すぎる花、毒のある花(彼岸花など)は避けるのが一般的です。
2. お線香
お線香は、ご先祖様への挨拶や、供養の気持ちを表すためのものです。宗派によって決まった香りのものがありますが、特にこだわりがなければ、一般的に使われる沈香(じんこう)や白檀(びゃくだん)の香りのものがおすすめです。
注意点:お線香をあげる際は、火の取り扱いに十分注意しましょう。風が強い日は、火が移りにくいように、ろうそくの火を覆うなど工夫が必要です。
3. 故人の好物
故人が生前好きだった食べ物や飲み物をお供えすることで、故人を身近に感じ、思い出を語り合うことができます。お酒、お茶、お菓子、果物などが定番です。
注意点:傷みやすい生もの(肉や魚など)は、お供えしないのが一般的です。また、お供えしたものは、お墓参りの後に持ち帰るのがマナーです。
お彼岸ならではのお供え物(ぼたもち・おはぎ)
お彼岸といえば、やはり「ぼたもち」や「おはぎ」は欠かせません。これらは、ご先祖様へのお供え物としてだけでなく、私たち自身もいただくことで、ご先祖様との繋がりを感じ、供養の気持ちを深めるという意味合いがあります。
ぼたもち:春のお彼岸に食べるもので、春に咲く「牡丹(ぼたん)」にちなんで名付けられました。粒あんやこしあん、きな粉などでまぶされたお米のお団子です。
おはぎ:秋のお彼岸に食べるもので、秋に咲く「萩(はぎ)」にちなんで名付けられました。ぼたもちと基本は同じですが、秋の味覚である小豆(あずき)が中心となります。
なぜお彼岸に食べるのか?
お彼岸は、ご先祖様を供養する期間ですが、同時に、豊作を祈願する意味合いも持っていました。小豆は古くから邪気を払うと信じられており、その小豆を使ったぼたもちやおはぎを食べることで、一年間の無病息災や、ご先祖様への感謝を伝えていたのです。
手作り?購入?
手作りすることで、より一層気持ちを込めることができますが、最近ではスーパーや和菓子店でも手軽に購入できます。ご自身の都合に合わせて選ぶと良いでしょう。ただし、お墓にお供えする際は、衛生面を考慮して、できるだけ新鮮なものを選び、お墓参りの後に持ち帰るようにしましょう。
その他のお供え物として検討したいもの
1. 季節の果物
旬の果物は、自然からの恵みであり、ご先祖様への感謝の気持ちを表すのに適しています。みずみずしい果物は、見た目も華やかで、お墓参りの雰囲気を明るくしてくれます。
2. 故人の愛用品(ミニチュアなど)
故人が大切にしていたものや、趣味に関連するものをミニチュアなどで表現してお供えするのも、故人を偲ぶ良い方法です。ただし、これはあくまで一例であり、ご自身の判断で、故人を想う気持ちが伝わるものを選んでください。
3. 故人の思い出の品(絵、手紙など)
故人が描いた絵や、ご自身が書いた手紙など、故人との思い出にまつわるものを、お供えとして添えるのも素敵です。これは、直接お供えするというよりは、お墓参りの際に、故人との思い出を語り合うきっかけとして活用するのも良いでしょう。
まとめ:心を込めて、ご先祖様との絆を深めるお彼岸に
今年の春のお彼岸は、例年以上に、ご先祖様への感謝の気持ちを形にする大切な機会となるかもしれません。感染症への配慮や、混雑への注意など、安全に配慮しつつ、心を込めてお墓参りをしましょう。
お墓参りの作法や、お供え物の選び方には、それぞれ意味があります。今回ご紹介した内容を参考に、ご先祖様が喜んでくれるような、丁寧なご供養を心がけてください。そして、お彼岸という期間を通して、ご先祖様との絆を改めて深め、日々の生活への感謝の気持ちを忘れずに過ごしていきましょう。
「注意が必要」というのは、単にリスクを避けるためだけでなく、ご先祖様への敬意と、そして自身の心を見つめ直すための呼びかけでもあります。この春のお彼岸が、皆様にとって、穏やかで意味のある時間となりますように。


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