「えっ、キティちゃん50周年であんなに盛り上がってたのに!? ニュースでは業績もいいって聞いてたから、なんでこんなに下がってるのか意味がわからない……。もしかしてオワコン化したの? これからもっと下がるの?」
この記事の3つのポイント
・株価急落の真犯人はサンリオではなく、中国ートイメーカー「ポップマート」のバブル崩壊による「巻き添え事故」である可能性が高い。
・実際のサンリオの業績は、営業利益率40%超えというIT企業並みの超高収益体質であり、海外事業も絶好調で過去最高益ペース。
・「一過性のブーム」と「50年の歴史ある物語」というビジネスモデルの決定的な違いが、嵐が過ぎ去った後の株価回復のカギを握る。
みなさん、こんにちは。
最近、投資家の間でどよめきが起きている「サンリオ株の急落」。 ハローキティ50周年で最高値を更新し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本のIP(知的財産)の宝、サンリオ。
しかし、ここ最近のチャートを見ると、なんとピーク時から「ほぼ半値」近くまで売り込まれるという衝撃的な展開を迎えています。
「業績が悪くなったの?」 「海外で人気がなくなった?」
そう不安になる方も多いでしょう。しかし、結論から言います。 今回の暴落、サンリオ自身の落ち度ではほぼありません。
一体何が起きているのか? SEOとマーケット分析が大好物の私が、この不可解な現象を3つのパートに分けて、徹底的に深掘りしていきます。
【Part 1】真犯人は「ラブブ」? 中国発のバブル崩壊による巻き添え事故
まず、最も大きな要因として考えられるのが、ある「別の会社」との奇妙な連動性です。
みなさんは「ラブブ(Labubu)」というキャラクターをご存知でしょうか? 中国のトイメーカー「ポップマート社」が販売しているフィギュアで、少し不気味可愛い見た目が世界中で大ヒット。大人がコレクションする玩具として爆発的なブームを巻き起こし、高値で取引されるバブル状態となっていました。
実は、サンリオの株価チャートと、このポップマート社の株価チャートを重ね合わせると、背筋が凍るほど同じ動きをしているのです。
ここ半年で両社とも株価はピークをつけ、そこから急降下。 これは何を意味するのか?
世界の機関投資家(プロの投資集団)は、個別の企業の事情を細かく見る前に、「アジア発のキャラクタービジネス」という大きなくくりで市場を見ています。 つまり、AIやアルゴリズムが以下のように判断した可能性が高いのです。
- ポップマートの「ラブブ」バブルが、過剰供給や模倣品の氾濫で弾けた。
- さらに、アメリカの関税政策(米中貿易摩擦)への懸念から、中国製造のリスクが嫌気された。
- 「じゃあ、同じアジアのキャラ銘柄であるサンリオも売っとけ!」
これが、いわゆる「連想売り」です。 サンリオからすれば「一緒にしないでくれ!」と言いたいところでしょうが、マネーの動きは時に残酷で短絡的です。ラブブの熱狂が冷めると同時に、サンリオも同じバスに乗せられ、崖下へと連れていかれた。これが今回の急落の「正体」である可能性が極めて高いのです。
【Part 2】数字は嘘をつかない! サンリオの「異常なまでの」稼ぐ力
「でも、本当にサンリオの北米人気が落ちてるんじゃないの?」 そんな声も聞こえてきそうですが、ここで感情論ではなく「数字」を見てみましょう。
決算資料を読み解くと、驚くべき実態が見えてきます。
サンリオの2026年3月期の中間決算。 売上高も営業利益も、過去最高を更新しています。 特に注目すべきは「営業利益率」。これがなんと約44.7%。
これがどれくらい凄いかというと、一般的なメーカーなら10%あれば優良企業です。40%超えというのは、工場を持たないIT企業やクラウドサービス企業並みの、とてつもない高収益体質です。 もはや、ただグッズを売る会社ではなく、ブランドという「権利」でお金を稼ぐ、最強のビジネスモデルが完成している証拠です。
「北米の利益が減った」というニュースも見かけますが、これは数字のマジックに注意が必要です。 前年が凄すぎた反動で、パーセンテージ上は減って見えますが、2年前と比較すれば利益は倍以上に膨らんでいます。 さらに、欧州、南米、アジアでは前年比で爆発的な成長(利益が倍近くになっている地域も!)を遂げています。
つまり、会社の中身(ファンダメンタルズ)は、ボロボロどころか「ピカピカ」なのです。 株価が半値になるような悪材料は、決算書をどうひっくり返しても見当たりません。
【Part 3】「おもちゃ」と「物語」の決定的な違い
では、なぜポップマートと一緒に沈んでしまったのか、そしてサンリオは復活できるのか。 ここで重要になるのが、ビジネスの「深さ」の違いです。
ポップマートの強みは「トレンド性の高いドール」でした。 しかし、形ある「モノ」としての流行は、模倣されやすく、飽きられやすいという弱点があります。 「ラブブっぽい人形」を作ることは、技術があれば誰にでもできてしまうからです。
一方で、サンリオはどうでしょうか。 ハローキティには50年の歴史があります。 シナモロールやクロミ、ポムポムプリンには、ファンと共に歩んできた「物語」と「世界観」があります。
これは、一朝一夕で作れるものではありません。 「カワイイ人形」はコピーできても、「50年分の思い出」や「キャラクターへの愛着」はコピーできないのです。
サンリオは今、特定のキャラだけでなく、複数のキャラが分散して人気を得る「ポートフォリオ経営」に成功しています。さらに「推し活」という文化を味方につけ、ファンの熱量を収益に変える仕組みも盤石です。
市場は今、この「歴史の厚み」の違いを無視して、ひとまとめに売り浴びせています。 しかし、嵐が過ぎ去った後に残るのは、流行り廃りの激しいトレンド商品ではなく、生活に根付いた強固なIPであることは歴史が証明しています。
今後の動向予測:嵐が過ぎ去るのを待つとき
最後に、今後の展開を予測してみましょう。
現状、株価は「売られすぎ」の水準にあると言えます。 確かに、日銀の利上げによって「株より国債の方が安全にお金が増えるじゃん」という投資家の心理変化(資金シフト)も影響しており、すぐにV字回復するかは地合い次第です。
しかし、企業価値(稼ぐ力)と株価の乖離(ギャップ)は、いずれ修正されます。 市場のほとぼりが冷め、「あれ? ポップマートは苦戦してるけど、サンリオはずっと最高益出し続けてない?」と投資家たちが冷静さを取り戻すタイミングが必ず来ます。
特に、サンリオとポップマートのビジネスモデルの違い、すなわち「フロー(一過性の販売)」と「ストック(積み上げたブランド価値)」の違いが再認識された時、サンリオの株価は本来あるべき評価へと戻っていくでしょう。
今はまさに、バーゲンセール状態かもしれません。 もちろん投資は自己責任ですが、この「不当な評価」こそが、長期的に見れば最大のチャンスに見えてなりません。
キティちゃんは、50年間あらゆるブームを乗り越えてきました。 今回の株価の嵐も、彼女たちにとっては「いつもの冒険」の一つに過ぎないのかもしれませんね。


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