2026年10月15日(米国時間)のイベントと、16日から17日未明までの報道(ビジネス+IT、テクノエッジ、朝日新聞、TBS NEWS DIGなど)にもとづいてまとめています。性能の数字は、テスラ側の説明や報道によるものです。
「ついにテスラが、空を飛んだ」。X上では、動画が100万件を超えるポストで広がりました。イーロン・マスク氏が15日、新型スポーツカー「ロードスター」の公開イベントで、車体が宙に浮いて回転する様子を披露したのです。
映画のような映像ですが、実際には何が行われたのか。本当に「空飛ぶクルマ」と言えるのか。市販はいつなのか。分かる範囲で整理します。
先に結論だけ
- テキサス州のスペースXの試験施設で公開。逆さまで坂を走り、空中に飛び出して回転し、着地した
- デモ車は無人(遠隔または自律)。マスク氏は「誰も死なせないためだ」と説明
- 飛行は短時間の跳躍と空中での姿勢制御。公道を飛べる車ではない
- 生産開始は2028年の予定。価格は未発表
何が行われたのか
ビジネス+ITなどの報道によると、デモは大きく2つでした。
- 逆さま走行からの宙返り:白いロードスターが湾曲した大きなスロープを駆け上がり、車体下のファンで吸い付いて逆さまの状態に。そのまま空中に飛び出し、向きを変えて着地した
- 車の列を飛び越える:サイバートラックなどを並べた列を、空中で横に回転しながら跳び越えて着地した
デモ車は無人でした。テクノエッジは、事故を避けるため自律走行にしていると伝えています。
どうやって浮いているのか
仕組みは、ジェット燃料を燃やすものではなく、高圧の空気を噴き出す「コールドガススラスター」です。スペースXの技術を応用して、両社が共同で開発したと説明されています。
| スラスター | 最上位モデルは車体まわりに10基 |
|---|---|
| 空気 | 炭素繊維で強化した容器2本に、約600リットル・約250kgを充填 |
| 吸引ファン | 車体の下の空気を吸い出して路面に押し付ける。最大2G分のダウンフォースで、逆さまでも貼り付く |
※ファンで車体を吸い付ける技術自体は前例があると、テクノエッジは指摘しています(1978年のF1マシンなど)。
モデルと値段は?
| Performance | 2人乗り。0から約97km/h(60mph)まで1.6秒未満。予約制 |
|---|---|
| Thrust | 2人乗り。後部スラスターで0.9秒未満。限定販売 |
| Rocket | 1人乗り。飛行に対応し、0.59秒未満。最高速度は約370km/h超。招待制 |
価格は未発表です。予約金は、米国のPerformanceで合計5万ドル、日本では合計682万円(左ハンドルのみ)と報じられています。航続距離は約480km超です。
「空飛ぶクルマ」と呼んでいいのか
ここは冷静に見たいところです。報道から読み取れる点は次のとおりです。
- 飛行は短時間の跳躍と姿勢制御で、自由に空を移動するものではない
- Rocketの製品説明には、「公道走行は許可されていません」との注記がある
- マスク氏自身も、「必ずしも安全性に最適化したクルマではない」と述べた
- 米連邦航空局などの規制当局との調整や、高圧空気タンクの容量という制約が、実用化の焦点とされている
9年越しの「公開」だった
ロードスターは、2017年に試作車が初めて公開されました。当時は2020年発売、価格20万ドルの予定でしたが、延期が続き、デモの予定も2025年内から2026年4月、8月、10月1日と変わりました。今回の実演は、その末の実現です。2017年の発表と比べ、加速は大きく縮んだ一方、航続距離は約半分、座席は4人から最大2人に減りました。
今後どうなる?
生産は、テキサス州のギガファクトリーで、2028年の開始を目指すとマスク氏は述べました。ただし、納車時期や地域ごとの提供時期は明らかにされていません。過去に何度も延期されてきた経緯もあり、今後の発表を慎重に見ていく必要があります。


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