上田商店の犬肉疑惑がSNSで広がるなかで、「犬肉って売ったら違法なの?」という疑問をよく見かけます。結論から書くと、「犬肉だから即アウト」とは単純に言えません。大事なのは、その肉がどこから来て、どう処理され、どう表示されたかです。
なお、筆者は法律の専門家ではありません。ここでは公開されている法律の枠組みを一般向けに整理するだけで、上田商店が違法だったかどうかを判断するものではありません。
前提:現時点では「疑惑」の段階
暴露系アカウントが「違法な犬肉を販売」と指摘したのは事実ですが、店側の投稿は肉の種類をぼかした書き込みが中心で、犬肉を販売したと確認された公的な情報は見当たりません。保健所や警察の調査結果も、確認できた範囲では出ていません。
法律の線引きは3つの分かれ目で考える
1.食品衛生法:衛生面のルール
食べものを売る場合、肉は食肉処理業などの許可を受けた施設で処理し、衛生基準を満たす必要があります。犬肉についても、食肉として扱うなら同じ枠組みが関わってきます。つまり「犬肉の販売そのものを一律に禁じる条文がある」というより、「許可や衛生基準を満たさず出したら問題になる」という整理です。
2.動物愛護管理法:殺し方・集め方のルール
こちらが一番重いところです。犬や猫は「愛護動物」とされ、みだりに殺したり傷つけたりすると、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金の対象になります。食用目的で国内の犬を集めて処理する場合、調達の経緯が問われることになります。迷子の犬や飼い犬が関わっていれば、窃盗などの別の問題も出てきます。
3.表示のルール:何の肉かを偽らない
別の肉だと偽って犬肉を出したり、逆に出所を偽ったりすれば、食品表示や景品表示の面で問題になる可能性があります。お客さんが知らずに食べさせられるのは、法律以前に信頼の問題でもあります。
まとめると、違法かどうかは「犬肉か否か」ではなく、「調達・処理・表示のどこかに問題があったか」で決まります。
よくある誤解を3つ
「犬肉は日本では完全に禁止されている」:実は、犬肉を売ることだけを直接禁じる条文があるわけではありません。ただし、前述のとおり調達や処理の過程で別の法律に触れる可能性は高く、実際に国内で食用として流通させるハードルはかなり高いとされています。
「ジビエ店なら何の肉を出しても許される」:ジビエは野生の鳥獣肉のことで、猪や鹿などを扱う場合も、専用の処理施設や衛生管理の基準があります。ジビエという看板が、出す肉の安全や出どころを保証するわけではありません。
「SNSに匂わせを書いたなら有罪確定」:書き込みが挑発的だったとしても、それだけで違法行為の証明にはなりません。冗談のつもりだったのか、実際に提供していたのかは、調査で確かめる話です。逆に、冗談でも疑われる書き込みが店の信用を傷つけることは、飲食店に限らずよくあります。
「犬猫食の禁止」を求める動きもあるが…
政治の場で犬や猫を食べることを禁じる法律を求める動きがあるとの指摘もあります。ただ、これは現行法の話とは別です。「いま施行されている法律でどうか」と「これからどうあるべきか」は分けて読むのが安全です。
気になる人が次にできること
- 断定コメントを書く前に、保健所などの公的な発表が出ていないか確認する
- 情報提供したい場合は、管轄の保健所や警察、消費生活センターへ
- お店への電話、押しかけ、口コミ荒らしは控える
SNSの勢いで「違法」と言い切ってしまうと、あとで事実と違った場合に自分が責任を問われかねません。調査結果を待つ姿勢も、立派な情報リテラシーだと思います。
※本記事は一般的な法律知識の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断が必要な場合は弁護士などの専門家へご相談ください。


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